当科では、病院常勤医太田、橋本、クリニック院長山嵜の循環器専門医3名により、24時間365日循環器救急を絶対に断らない体制で、近隣の開業医の先生方とも連携を組み、急性心筋梗塞や狭心症の冠動脈硬化性心疾患、閉塞性動脈硬化症、不整脈、心不全、心筋症、弁膜症、高血圧症に注力し診断、治療を行っております。
冠動脈硬化性心疾患を起こしやすい危険因子は分かっております。年齢50歳以上、喫煙歴、高コレステロール血症、高血圧症、糖尿病、家族歴を有する場合は、気づかない間に冠動脈硬化症が進行していないかのチェックを受けられたほうが良いと考えられます。また胸が重苦しく、圧迫感、胸やけ、頚部や下顎、左上肢のしびれ感、心窩部、背部の違和感を自覚するのであれば、狭心症の可能性が高くなり、検査をお勧めします。外来において、造影剤を用いたCTにより診断が可能です。
受診当日の検査施行が可能で、入院の必要はありません。CT所見と合わせて総合的に判断し、心臓カテーテル検査の適応を決定します。治療法は内服療法、冠動脈インターベンション( Percutaneous Coronary Intervention ; PCI )、冠動脈バイパス術があります。カテーテル造影所見のみで治療判断を行わず、冠動脈内の病変前後の圧測定を行い、血行再建の適応を判断します。病変は認められるが、現時点では血行再建の必要性は低いと判断される場合もあります。その場合、内服療法が主となります。PCIの適応と判断されたら、さらに血管内画像診断法を用い、血管径、病変長を測定し、バルーンによる拡張、ステント留置術を行います。比較的若い方や金属アレルギーをお持ちでステント治療を控える必要のある場合には、冠動脈硬化病巣を体外へ切り出すことができる、方向性冠動脈粥腫切除術( Direct Coronary Atherectomy ; DCA )を施行しております。高度石灰化病変のためロータブレーターや冠動脈バイパス術が必要と判断された場合には、他施設と連携を取り治療を進めていきます。
一方で、急性心筋梗塞は、冠動脈が急に完全閉塞し命に関わる状況です。狭心症症状よりも非常に強い胸痛で、持続時間が30分以上続きます。心臓突然死の主たる病因で、救命を目的とした緊急カテーテル検査、治療の適応となります。
閉塞性動脈硬化症は主に下肢の痛み、趾指の潰瘍、壊死が生じる場合は血管内治療が必要となります。
心房細動は脳梗塞や心不全の原因となる不整脈で、我が国ではすでに100万人を超えると言われています。これまでは抗凝固薬や抗不整脈薬での内服治療が主な治療でしたが、現在ではカテーテルアブレーション治療により根治が期待できるようになりました。当院でも根治可能と考えられる心房細動に対しては積極的にカテーテルアブレーション治療を行っております。当院における発作性心房細動アブレーション治療の1年後非再発率は、91%と非常に高い成功率を収めております。この治療により生涯飲む必要のあった内服薬から解放されることも十分に考えられます。その他の発作性上室性頻拍(WPW症候群を含む)や心房粗動などの頻脈性不整脈も多くはカテーテルアブレーション治療の適応となります。
ふらつき、失神などの症状を有する徐脈性不整脈では、永久型ペースメーカー植込み術の適応となります。
過去に血管内カテーテル治療、冠動脈バイパス術、カテーテルアブレーション、永久型ペースメーカー植込み術を受けられた場合は、その後の管理が最も重要ですので、当科にご相談ください。