医療安全
当院の医療安全管理指針について
昭和58年10月に当院を開設し、「地域の皆様に選ばれる病院」を目指し、患者さん本位の医療推進と、高度医療並びに先端医療の積極的な導入を図り、地域医療における役割の充実を図ってきました。
そして同時に社会の信頼に応え得る安全な医療を提供することが求められており、そのために私たちは医療事故防止のため日々努力しております。その基本的な考え方を示した医療安全管理指針をこのページにお示しさせていただきます。
医療安全管理指針
1.趣旨
本指針は、たちばな台病院(以下「病院」という)における医療安全管理体制の確立、医療安全管理のための具体的方策及び医療事故発生時の対応方法等について、指針を示すことにより、適切な医療安全管理を推進し、安全な医療の提供に資することを目的とする。
2.医療安全管理に関する基本的な考え方
安全で質の高い医療を提供することは、全ての医療従事者の責務であり、病院職員ひとりひとりが、医療安全の必要性・重要性を自分自身の課題と認識し、最大限の注意を払いながら日々の医療に従事せねばならない。
病院は、医療の安全管理、医療事故防止の徹底を図るため、「人間はエラーをおかす」という観点に立ち、個人の責任追求ではなく、医療安全管理システムの問題として捉え、院長(医療安全統括責任者)、医療安全管理室を中心として有機的な体制を構築し、組織横断的に取り組むことを基本姿勢とする。病院の理念に則った医療が提供できるよう、本指針を定める。
3.組織及び体制と役割
病院における医療安全対策と患者の安全確保を推進するために、本指針に基づき以下の役職及び組織等を設置する。
- (1)医療安全統括責任者
- (2)医療安全管理者
- (3)医療安全管理室
- (4)医療安全管理委員会
- (5)医療安全推進担当者
- (6)医薬品安全管理責任者
- (7)医療機器安全管理責任者
- (8)医療放射線管理委員会
- (9)医療事故調査専門委員会
- (10)医療事故調査制度調査委員会
- (1)医療安全統括責任者
院長は、医療安全管理統括責任者であり、医療事故防止に関する方針の策定、医療事故発生時の指揮、対応方針の決定等病院の医療安全管理全般について最終的な責任を有する。
- (2)医療安全管理者
医療安全管理者は、医療機関の管理者から委譲された権限に基づいて、安全管理に関する医療機関内の体制の構築に参画し、委員会等の各種活動の円滑な運営を支援する。医療安全に関する職員への教育・研修、情報の収集と分析、対策の立案、事故発生時の初動対応、再発防止策立案などの医療安全に関する幅広い活動を行う担当者として医療安全管理者を置く。
- ①医療安全管理者は、医療安全対策研修修了者の中から病院長が指名する者をもって充てる。
- ②医療安全管理者は、医療安全推進担当者を指導し、連携・協同の上、病院全般にかかる医療安全対策の周知・実行・評価を含め、医療安全管理のための組織横断的な活動を行う。その他の具体的な職務に関しては「医療安全管理室規程」を別に定める。
- (3)医療安全管理室
組織横断的に院内の医療安全管理を担い、医療安全管理委員会の資料の保存など庶務に関する支援を行う目的として、医療安全管理者、医療安全推進担当者、医療安全管理委員長、医薬品安全管理者、医療機器安全管理者などからなる医療安全管理室を設置する。医療安全管理室の運用・業務については「医療安全管理室規程」を別に定める。
- (4)医療安全管理委員会
医療に係る医療安全管理体制の確保および医療事故の発生を未然に防止する方策を審議し、解決策を策定することを目的として、医療安全管理委員会を設置し、原則毎月1回開催する。具体的な業務は医療安全管理委員会規定による。
- ①委員会は必要に応じて院長又は医療安全管理者が臨時に医療安全管理委員会を招集することができる。
- ②具体的な運用・業務に関しては「医療安全管理委員会規程」を別に定める。院内感染対策の体制確保については、院内感染対策委員会と連携するものとする。
- (5)医療安全推進担当者(リスクマネージャー)
病院内の医療事故等の防止を図ることを目的に医療安全推進担当を置く。
- ①医療安全推進担当者は、各部署の責任者とする。
- ②医療安全推進担当者は、各部署の医療安全管理担当者として医療事故の原因、防止方法に関する検討提言を行うとともに、所属部署における職員の意識の向上等医療安全管理を推進する。
- (6)医薬品安全管理責任者及び医薬品安全管理委員会
医薬品に係る安全確保の目的のため、病院の医薬品の安全使用のための責任者として、医薬品安全管理責任者及び医薬品安全管理委員会を置く。医薬品安全管理責任者は、薬局長がその職務にあたり下記の業務を所掌する。
- ①薬品の安全使用のための業務に関する手順書の作成、点検見直しの実施。
- ②薬品の安全使用のために必要となる情報の収集及び職員への周知。
- ③職員に対する医薬品の安全使用のための意識の向上、指導及び研修の実施。
- ④医薬品の業務手順書に基づく業務の実施。
委員会の運営については、委員会規定に定める。
- (7)医療機器安全管理責任者及び医療機器安全管理委員会
医療機器に係る安全確保の目的ため、病院の医療機器の安全使用のための責任者として、医療機器安全管理責任者を置く。医療機器安全管理責任者は、院長の指名した臨床工学技士がその職務にあたり下記の業務を所掌する。
- ①医療療機器の保守点検に関する計画及び実施。
- ②職員に対する医療機器の安全使用のための指導及び研修の実施。
- ③医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集及び職員への周知。
委員会の運営については、委員会規定に定める。
- (8)医療放射線安全管理責任者及び医療放射線安全管理委員会
診療用放射線に係る安全確保の目的ため、病院の医療放射線の安全使用のための責任者として、医療放射線安全管理責任者を置く。医療放射線安全管理責任者は、院長の指名した放射線科医がその職務にあたり下記の業務を所掌する。
- ①診療用放射線の安全使用に関する計画及び実施。
- ②職員に対する診療用放射線の安全使用のための指導及び研修の実施。
- ③診療用放射線の有害事例等の発生時の対応。
- ④医療従事者と放射線診療を受ける者との情報共有に関する支援。
委員会の運営については、委員会規定に定める。
- (9)医療事故調査専門委員会
重大な医療事故及び医事紛争が起きた場合の調査・対策を行う。
医療事故等に係る紛争・訴訟に関し必要な事項を調査・検討する。
具体的な運用に関しては「医療事故調査専門委員会規程」に定める。
- (10)医療事故調査制度調査委員会
医療事故調査制度による調査を行います。対象となる医療事故は、「医療事故(当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたものとして厚生労働省令で定めるもの)」とされており、病院長が必要と認めた場合に調査活動を行います。また、医療事故による死亡事例について適切に院内調査を実施するため、病院長は、院内での死亡事例を遺漏なく把握できる体制を確保することとする。
4.医療安全管理のための職員研修
- (1)医療安全に関する基本的な考え方及び具体的方策について、職員へ周知徹底を図るために研修会を開催し、併せて職員の医療安全に対する意識向上を図る。
- (2)医療安全管理のための職員研修については、「医療安全管理委員会規程」に定める。年2回以上の開催とするが、必要に応じて随時開催する。
5.医療事故を防止するための情報収集、分析 対策立案、フィードバック、評価
- (1)職員は、インシデント及びアクシデント事例が発生した場合に、速やかに「医療安全レポート」により、医療安全管理室へ報告するものとする。
- (2)医療安全管理室、医療安全管理委員会は病院全体の医療事故情報を一元化し、評価・分析することにより、再発防止のための改善策を図るものとする。必要に応じて、各部門・部署の医療安全推進担当者を通じて、職員に速やかに周知する。
- (3)報告は医療法において医療従事者としての義務であるが、明らかな医療過誤でない限り当事者個人の責任を一切問うものではない。
- (4)報告書に基づく医療に係る安全確保を目的とした改善方策については医療安全管理委員会により改善策を策定する。
6.医療事故発生時の対応
- (1)救命措置の最優先
患者に望ましくない事象が生じた場合には、病院側の過失によるか否かを問わず、まず、病院の総力を結集して、可能な限り患者の救命と被害の拡大防止に努める。また、院内のみでの対応が不可能と判断された場合には、遅滞なく他の医療機関の応援を求め、必要なあらゆる情報・資材・人材を提供する。
- (2)院長への報告等
- ①事象事故が発生した場合は、事故の状況、患者の状態等を、所属長を通じあるいは直接に病院長等へ迅速かつ正確に報告する。なお、口頭で報告した事項は、報告者が速やかに報告書を作成し、提出する。
- ② 病院長は、医療事故発生の報告を受けた場合、速やかに医療事故調査専門委員会を招集し、対応について検討を行う。
- (3)患者・家族・遺族への説明
- ①事故発生後、救命措置の遂行に支障を来さない限り可及的速やかに、事故の状況、現在実施している回復措置、その見通し等について、患者本人、家族等に誠意をもって説明を行う(患者が事故により死亡した場合には、その客観的状況を速やかに遺族に説明する)。この場合、患者、家族への対応は病院として組織的に行うものとする。
- ②過失と事故との因果関係が明らかでない場合は、十分な調査検討を行った上で、できるだけ早い時期に説明することを約束し、理解を得るよう努力する。
- (4)事実経過の記録
- ①医師、看護師等は、患者の状況、処置の方法、患者及び家族への説明内容等を、診療録、看護記録等に詳細に記載する。
- ②記録に当たっては、具体的に以下の事項に留意する。
- ア初期対応が終了次第、速やかに記載すること。
- イ患者の状況に応じ、出来る限り経時的に記載を行うこと。
- ウ事実を客観的かつ正確に記載し想像や憶測に基づく記載を行わないこと。
- (5)医療事故調査・支援センターへの報告
医療事故(当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたもの)として病院長が認めたものについては報告を行い調査を開始する。
- (6)警察への届出
- ①警察への届出については、医療事故調査専門委員会における事実確認を行った上で、別に定める医療事故の公表基準に基づき適切に対応する。
- ②届出を行うに当たっては、事前に患者、家族に説明を行う。
7.医療従事者と患者との間の情報共有および指針の閲覧
患者・家族からの医療の安全管理および安全対策等についての質問等があれば積極的に情報を開示し、患者との情報の共有に努めるとともに、本指針の閲覧ができるものとする。また、本指針についての照会には医療安全管理室が対応する。
8.患者からの相談への対応
- (1)患者等からの苦情、相談に応じられる体制を確保するために、患者相談窓口を常設する。
- (2)患者や家族からの苦情、相談に応じられる体制を確保し、安全な医療の提供と患者サービスの向上を図るため、院内に患者相談窓口を設置する。
9.医療安全対策に関する医療機関との連携
- (1)医療安全対策加算を算定する複数の医療機関が連携し、医療安全対策に関する評価を行う。
医療安全対策加算1に係る届出を行っている保険医療機関と連携し、少なくとも年1回程度、当該加算に関して連携している医療安全対策加算1に係る届出を行っている保険医療機関より評価を受ける。
10.その他医療安全の推進
- (1)各部署に医療安全推進者を配置し、委員会で決定した医療安全に係る事項及び改正内容を所属職員へ周知させる。
- (2)医療安全管理指針ならびに医療事故防止対策マニュアルについては、医療安全管理委員会及び医療安全管理者にて定期的な(1年に1回程度)見直しを行うものとする。
- (3)職員は常日頃から患者への応対、医療・看護等の実施、医療機器の取り扱い等について、安全の確保に細心の注意を払い、どのような事態に陥っても患者を最優先するという心構えで業務にあたり、患者の安全と信頼の確保に努めなければならない。
11.本指針の改廃
本指針の改廃は、常任管理運営委員会の了承を得て病院長が決定する。